ちよ文庫

詩、掌の小説

2020-03-23から1日間の記事一覧

「1111」.3

地元の駅から自宅付近まで歩き、自動販売機の前で「あたたかい」の欄にあるミルクティーを選ぶ。 もう暗くなった今の時間帯では眼前に広がる河川敷にサッカー少年などいなかった。 ペットボトルで手を温めポケットに入ったセッタを取り出してお下がりのライ…

「1111」.2

もう1つ隣の通りにはパンクスタイルの雑貨屋があり、いつも看板娘の黒猫がお出迎えしてくれる。私は、店手の愛猫マリンちゃんをそっと撫でて「お久しぶりです。」と声を掛けた。 「久しぶりだねえ。ハジメくんは元気なの。」 「この間タイビール飲んでご満悦…

「1111」.1

午前10時。朝起きてまず24時間営業しているスーパーへと足が向いた。 有線が流れる店内には、子供連れのお母さんやご近所のお年寄りがちらほら見える。私は真っ直ぐに鮮魚コーナーへと足を運んだ。 白の作業服に身を包んだ顔の見えない店員さんは、私に気づ…