ちよ文庫

詩、掌の小説

「砂」


f:id:chiyo-1215:20200601164937j:image

 

朝目覚めると小鳥が鳴いているような

真白いホットミルクのぬくもりのような

カーテンを開けると射す陽の光のような

ふとんにくるまり微睡む昼時のような

 

そんなささやかな幸福に私はなりたい

 

あなたを希うことはなくていい

親しき友になれずともいい

愛されることも愛することも許されなくてよろしい

ただたった一粒の砂のような ちっぽけな存在でいい

ほんのわずかでもあなたの世界でありたいのです

 

願わくばあなたを悲しみの波で沈め暗い海に溺れさせるのではなく

あなたの生をそっと支えるくらいの何気ないなにかでいさせてほしい

それすらも許されないならば 私は喜んで泡になろう